進学選択
進学選択
2021/03/14
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──まず、小芦さんの学生時代について伺っていきたいと思います。 なぜ教育学部の比較教育社会学コース(比教社)を選んだのですか?
もともとは親が英語の教員だったこともあり、国際系の活動に興味を持っていて、大学1年からMISという国際協力のサークルに入っていました。そのサークルで、大学1年の夏にカンボジアの教育プロジェクトに携わったんですよ。そこで小学校にすら行けてない家庭を訪問し、教育を受けさせたくても金銭的な理由等で学校に行かせられない、という話を聞いたときに、「なんて自分は恵まれているんだろう……」ということに気づいたんです。
大学に入学した当初は教養学部教養学科総合社会科学分科国際関係論コース(国関)進学しようと思っていたのですが、その経験や、教育系NPO法人の活動に参加したこと通して、自分の興味関心が「国際協力」よりも「教育」の分野、なかでも教育格差にあることが見えてきました。
格差が生まれる社会構造について深く学びたかったため、教養学部教養学科総合社会科学分科相関社会科学コースや文学部社会学科との間で悩みましたが、教育格差という興味関心に一番真っ直ぐ向き合えると思ったため、比教社への進学を選択しました。
──東大に入学してから様々な活動をする中で、自分が本当に興味のある分野が見えてきた、ということなのですね。私もそうでしたが、入ってから自分の興味分野を見つけられるのは東大ならではですよね。
そうですね。教育を受けたくても受けることのできない人たちを目の当たりにした時に感じたもどかしさが、進学選択の原体験となっていると思います。
──比教社は何を学ぶ学科なのでしょうか?
教育学部の5コースの中でも、比教社は教育社会学を学ぶ学部で、社会現象や文化と教育の関係を研究します。実際には、「教育格差」「国際比較」「社会教育」「文化」「ジェンダー」など、幅広いテーマの講義や演習があることが特徴です。
──比教社で良かったなと思うことは何ですか?
比教社は3年生の必修科目に、「調査実習」というものがあるんですよね。自分たちでアンケートを作って、実際に中学生に答えてもらって、それを分析する、という調査の一連の流れを全部やるという授業です。この授業で得られたものは本当に社会に出てから役に立っています。
アンケート項目をどのように設計するかであるとか、得られた結果をどのように分析するか、という調査実習で使う思考能力は、今の会社でもどのように調査項目をデザインし分析すれば、得たい情報が手に入るのかを考えるうえで非常に重要です。きっと多くの会社で、アンケートをとったり、データを分析したりする場面は出てくると思うので、社会に出てからも汎用性の高いスキルだと思います。
さらに、データを扱う場面が多いために、仮説を持ってから物事に取り組む、「仮説思考」のようなものが鍛えられたのですが、この能力はビジネスの世界で新しい取り組みを始める際にも使うものだったので、社会に出てから、比教社でいい経験ができたなと感じることが多いですね。
──3年の夏から1年間シンガポール国立大学に留学さかれたとのことですが、小芦さんのように留学を考えている東大生は多いと思います。なぜシンガポールに留学し、そこでどのような経験をしたのですか?
一つの理由としては、大学1年からやっていた国際系サークルの活動を通して、シンガポールに何人か友達がいたので(笑)。それと、留学先では社会学を学びたいと思っていて、シンガポールという国は多民族国家で、その中で格差や対立もあるのではないかという仮説を検証したかったというのも選んだ理由です。だから留学先の大学ではシンガポールの社会について広く学びました。
あとは、現地でも色々課外活動をやっていて。学習支援のボランティアや飲食点で余った食品を現地の移民労働者の方に配る活動をやったり、吹奏楽のサークルにも入ったりしていましたね(笑)。
──すごいですね(笑)。留学先でもアクティブに活動されていたのですね。
そうですね。私は留学先ですごい学問を極めたかったというよりは、現地の社会の実情を知りたいという思いが強かったので。いろいろな活動を自分で探して、カタコトの英語でコミュニケーションをとりながら参加していきました。現地の方も、「日本からの留学生」っていうのを面白がって受け入れてくれて(笑)。
シンガポールが多民族国家ということもあってか、浮く感じもなく活動できたので、非常に良い経験となりました。留学先でも、やろうと思えば色々な可能性が広がっていると思います!
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