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地方移住のすゝめ「地方から日本を変えていく。」 ~柳澤さんインタビュー vol.3~

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2021/05/31

地方移住のすゝめ「地方から日本を変えていく。」 ~柳澤さんインタビュー vol.3~

# 文科Ⅲ類

# 文学部

今回は、柳澤拓道さんのインタビューvol.3をお届けします。 柳澤さんは文科Ⅲ類から文学部社会学科に進学し、UR(都市再生機構)で12年間勤務されたのち、現在は休職し長野県佐久市で地方創生へ注力されています。

vol.3では長野県佐久市に移住されることをご決断されてから現在に至るまでのお話を深掘りしていきたいと思います。

  ── その後URに戻り、都心のまちづくりを2年担当されたとお聞きしています。この後に長野県佐久市への移住を決意されたわけですが、そこにはどのような思いがあったのでしょうか?

この頃「誰のためにこの建物建てているんだろう。誰が幸せになっているんだろう。そもそもこの事業をURがこれを担う必要があるのか。もっと地方には困っている場所・人々がいるのに、なぜ自分は都心の事業を担当しているのか。」といった思いを強く抱くようになりました。URでは12年間ずっと東京で働いていたのですが、東京のコンテンツが飽和してきているのを感じ、消費を喚起するためのブランディングやマーケティングを行っている事業などにも嫌気が刺してきたんですね。

人間として根源的に必要なのは何だろうか?と考えた時に、エッセンシャルワーカーにお金が行き届いていない現状に違和感を感じたり、と様々なことを考えました。

そんな中で、大都市東京はそもそも日本全国からコンテンツや素材が集まって形成されているわけなので、地方で面白いコンテンツや素材を生み出してそれを東京へ輸出する形を取らないと、東京も地方も限界に来てしまうと考えるようになりました。加えて、子育てする中で、東京は走り回る場所もないし窮屈だなと、感じるようになりました。

こうして2019年の秋に移住を決断し、2020年の6月に実際に佐久市へ移住しました。

辞職も決意していたのですが、地方でまちづくりに携わるのであれば休職という形でもいいのではないか、とお世話になった先輩方のアドバイスやサポートをいただき、結果休職という形をとっています。私のわがままな動きを「休職」という形で送り出してくれた会社の新しい可能性を感じますし、私も何らかの形で組織にも貢献し続けていきたいと思っています。


  ── 今の東大生は”東京”に居続けたいと思う人が多いように感じているのですが、地方に移住されることに不安はありませんでしたか?

確かに不安に対するリスクヘッジは必要だと思っているのですが、僕の場合は妻がどこに行っても働ける専門的な仕事をしていたので、自分は主夫業と並行しながら最大のリスクを冒して行動することができました。今は共働き世帯の方が多いので、リスクヘッジを取りつつ夫婦のどちらかはチャレンジしてもいいのではないかと思います。そのチャレンジの矛先が地方だとしたら嬉しいですね。


  ── 佐久市に移住されてからはどのような活動をされているのですか?

ワークテラス佐久というコワーキングスペースの企画運営と、佐久市と共同で関係人口を増やす活動、鉄道会社との共同プロジェクトなどをしています。コロナが追い風になっているのもあるのですが、主に「地方で面白いことをやりたい!」と考える東京からの移住者に対しての場づくり、そのための施設やイベントの運営をしています。ワークテラス佐久の会員も提供を開始した1年前から6倍ほどになりました。また各種イベントも開催しているのですが、ローカルシフトをテーマにした合宿を開いたら参加した7名のうちなんと4名が移住するなど賑わいを見せています。

 ↑佐久でのプロジェクトのメインビジュアル 


  ── それは本当にすごいことですね。

東京でモヤモヤを抱えて何となく移住したいんだけど踏み出せない、不安があるという人がそうしたイベントを通して地域の人と繋がり、心の整理をつけ移住を決意することも多いようですね。人口減少自体は歯止めがきかないのでそれ自体は問題とは思っておらず、一方で少しでも移住を考えている人を受け入れる体制が地域側に整っていないことが現状の課題だと思っています。ハード面を整えつつもソフト面でのサポートもしていきたいですね。

それと並行して移住してきた人が東京でのお仕事に加えて(副業としてで良いので)その地域の活動を担うような仕組みづくり・制度作りも行っていきたいと思っています。そうすると人口は減ってもクリエイティブな生産労働力が地域にも入り、街に新たなアイデアが生まれてくると信じています。旅行業の延長としての「ワーケーション」という言葉が一人歩きしていますが、僕らが目指しているのは「コワーケーション」。会社組織に命令されて作業をしに地方に来る人ではなく、個人の思いで地方に来て人と繋がって何かをやりたい、という人を受け入れて一緒に何かを生み出していきたいと思っています。


  ── これまでは地方移住のお仕事の側面に関してお伺いしてきましたが、移住後の生活に関してはどのように感じていますか?

天国みたいですね(笑)。最高です。仕事上の課題がなければ地方に行かない理由がないぐらいに居心地がいいです。特に子育てをしている人にとってはリモートワークさえできれば東京にいる理由がないぐらいではないでしょうか。実際に軽井沢を含めた佐久地域に、30代の移住者がどんどん集まっています。


  ── まとめとなりますが、柳澤さんの今後のビジョンを教えてください。

この長野県の佐久広域圏で新しい働き方、新しい地域への貢献の仕方、新しい人材のシェアの仕方を見つけていきたいです。佐久市は東京から新幹線で70分という好立地であるので、ここで上手くいかなければ全国どこでも上手くいかないだろう、というぐらいの思いでいますね。そしてその新しい働き方というものを適用可能な形で他の地域にも展開していきたいと思っています。そうすることで、首都圏に集まる若者やクリエイティブな人が地方に目を向けてくれるのではないでしょうか。


  ── 最後に、東大生に向けてのお言葉をお願いします。

地方に来ることはもちろん大歓迎ですが、一方で東京で揉まれることは非常に大切であると思っています。僕らが活動をしていて面白いなと思う人って結構東京で揉まれて自分のモヤモヤを抱えて、その後に自分が暮らす場所は東京ではないと自分自身で気付いて移住してきた人だと思っているので、しばらくは東京で揉まれてほしいです(笑)。子育てをする段階などで、きっといつか地方に目を向けるタイミングが来ると思うので、その時に地方に移住することを真剣に考えてくれたら嬉しいですね。一見つまらなさそうに見える地方はよく見るととても面白いことが起こっている可能性を秘めています。社会や組織に埋もれてしまいそうな東京で無理に頑張るより、個人としての力を発揮しやすい地方で頑張るのも素晴らしいことだと思います。

東大生のキャリア職離れをみても分かる通り、中央官庁の力もだいぶ弱まっていると感じています。日本を変えようと思ったときに、東京から変えるのではなく、地方から変えていくのも一つの戦略なのではないでしょうか。佐久でお待ちしています(笑)


  ── 貴重なお話をありがとうございました。