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【異色のキャリア】東大卒の女性農家として~川名さんインタビューvol.3~

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2021/06/16

【異色のキャリア】東大卒の女性農家として~川名さんインタビューvol.3~

# 理系学部就職

# 女性のキャリア

# 文科Ⅲ類

# 農学部

今回は、川名桂さんのインタビューvol.3をお届けします。 川名さんは文科Ⅲ類から農学部国際開発農学専修に進学し、現在は東京都日野市にある街中農園Neighbor’s Farmにて野菜を栽培・販売されています。新規就農(独立して農業を始めること)された2019年当時、生産緑地を借りて農業を営まれるのはなんと全国で初めての事例でした。

vol.3では、川名さんが新卒での就職先を退職されてから現在に至るまでのキャリアについて深掘り深堀していきたいと思います。

  ── 新卒で就かれた農業法人ではかなり大変な経験を積まれたのですね。その会社では何年ほど働かれたのですか?

3年ぐらいですね。福井で実際にトマト栽培の経験を積むなかで、都市における小規模農業への思いが強くなり、情報収集のためにも東京へ戻ることにしました。独立して農業を営むなら後々必要になるであろうマーケティングやブランディングを学べる会社へ就職し、平日はその会社に従事しながらも、週末は融資や補助金などの優遇制度を調べたり、事業計画を立てたりと農園を開く方法を模索しました。

  ── 学生時代からの積極的な行動力がここにも表れているのですね。本当に見習いたいです(笑)。

そうしているうちに見通しが立ったので、結局4ヶ月でその会社を辞めてしまうことになりました。独立するためには農業研修をしなければいけなかったので、退職後は東京都清瀬市にてとある農家さんにお世話になり、2年間様々な野菜を育てる中で色々なことを学びました。


  ── 東大生は往々にして単純作業を嫌う傾向があると思うのですが、2年間農業だけをやるというのは相当きつかったのではないですか?

新卒の会社で工場を回ったり、福井でトマト栽培をする中で、実は価値観が変わっていたんですね。そうした単純作業を作り出す立場の我々東大生がそこで働く人の気持ちを理解していないようでは、制度自体崩壊していくんだと感じましたし、そもそも自分ができないような作業を他の人にやらせてはいけない、そう痛感しました。新卒時代にそうした労働者への敬意が生まれ、単純作業への抵抗というのは無くなっていました。


  ── 東大生として非常に耳の痛いお言葉です。肝に銘じます(笑)。2年間の時を経て、独立するまでには相当な苦労があったと思いますが、いかがでしたか?

最初は全然農地が見つからず、挫折しかけました。このまま一生清瀬市でトマト栽培のお手伝いをして人生が終わってしまったらどうしよう、と。30歳までに独立できなければこの道は諦めようと、焦りは常にありました。ただチャンスが来るまで出会いを待つのみ、という状況でした。しかし、こうしたちっちゃい夢・希望でも周りの方々がアドバイスをして協力してくれたので、徐々に現実化していきました。自分の力というよりかは、本当に周りの人の力が大きいと感じます。そんな中2019年3月、ついに独立を果たし新規就農をする夢が叶いました。


  ── 真にやりたいことだからこそ、頑張れるし、人がついてきてくれるし、チャンスが到来するんでしょうね。独立後の農業経営はいかがですか?

1,2年目は自己資金で出来る範囲内で細々と農業を営みました。そのため週4回は以前のように清瀬市での農業バイトもしていました。繁忙期が重なるので大変でしたが(笑)。ただ昨年末から大規模に投資を行い栽培形態を変えたので、やっとバイトを辞め従業員を雇い、スタートラインに立った、というところです。


  ── これからの川名さんの農園がますます楽しみです。最後に、今の東大生に伝えたいことをお願いします。

もっと高い次元で本当に世の中のためになることは何か?と自分に問いかけてみて欲しいです。私が学生だった頃にはコンサルブームというものがありました。もちろんコンサル自体も素晴らしいお仕事ですが、本当に世の中が必要としている職業というのは流行り廃りで決まるものではありません。色々な経験を積んだり、長い歴史から考えたり、色々な文化の人をしったり、そういった体験から視座を高くして考え直し、選んでいくことが大事だと思います。
また東大生は既に恵まれている立場にいるので、リスクをとってでも社会のために行動すべきだと考えています。というか、東大生ならそもそも何をやっても、どんな挑戦的な試みをしても、致命的なリスクにはなりません。恵まれているという状況を理解したうえで、今後何事にも挑戦して欲しいと思います。

  ── 大変貴重なお話をありがとうございました。