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【人生は自分で決める】商社を辞めて留学をする理由 ~佐藤さんインタビュー vol.3~

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2021/08/17

【人生は自分で決める】商社を辞めて留学をする理由 ~佐藤さんインタビュー vol.3~

# 女性のキャリア

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# 文科Ⅲ類

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今回は佐藤有里香さんのインタビューvol.3をお届けします。 佐藤さんは文科Ⅲ類から文学部社会学科に進学され、住友商事で4年間勤務されたのちに退職され、現在は2021年9月からのイギリスの大学院留学に向けて準備をされています。 vol.3では佐藤さんが商社に入社されてからの日々と退職を決意されるに至った経緯について、そして大学院留学というこれからの挑戦に関して、深掘りしていきたいと思います。

  ── 大学を卒業されて、入社後はどんな部署に配属されたんでしょうか?

途上国に行きたい、最前線の営業に行きたい、と言って入社したのですがなかなか商社は配属リスクもあるので希望叶わず、食料やヘルスケア、繊維関連の経理担当になりました。

  ── 公認会計士ではないのに、経理だったんですか?

そうですね、大体の人が未経験で入ってきていて、私も財務諸表や貸借対照表が一切わからない状態でした。でも、何事もやってみようという思いでくらいつき、入社1年目の6月に簿記2級を取得しました。その後2年間みっちり経理をやったおかげで数字面からビジネスを捉えられるようになり大変勉強になったと思います。言語から税制まで何もかもが異なる様々な国と、食料と繊維とヘルスケアという多岐にわたるビジネスを、数字という同一の尺度で捉えたり、複雑なビジネススキームを数字に落とし込むのは面白く、入社した時に思い描いていたキャリアとは違いましたが、知的好奇心をくすぐられる非常に貴重な経験ができました。

また先輩や上司にも恵まれて、仕事終わりに飲みに誘ってもらったりとか土日にゴルフを教えてもらったりとか、沢山可愛がってもらって楽しい2年間でした。もちろん飲めなくても商社はやっていけるのでそこは心配しないで欲しいんですけどね(笑)。

  ── 2年間経理をされた後、どのような部署に異動されたのですか?

輸送機関連の営業部門のバックオフィスに異動になりました。最前線で営業をするというよりかはミドルオフィス、つまりは営業予算を管理したり、予算と実績を比較してそれをマネジメントへ報告する、その他には株主や投資家に対して業績報告をする、といったお仕事を担いました。会社の経営を担うポジションの方と近い立場でお仕事ができ、この会社をどうしていったら良いのか、常に視座を高く持って経営について真剣に考えたり意見することができたのは非常に面白かったですし、当初の希望ではなかったですが、ミドルオフィスとして関係者の利害調整をしたり、数字を使ったモニタリング・分析の業務は意外と自分の性格に向いてるなと感じました。

  ── ただ、2年と少しで退職されてしまったのですね。もう少し待てば希望の現場に行けたかもしれない、というこのタイミングで辞めてしまったのはどうしてなんでしょうか?

出張でミャンマーへ行かせてもらう機会もありこのまま働き続けるか非常に迷ったのですが、30歳目前になった時に、会社の異動に左右されることなく、自分で人生の舵取りをしたいなと、そう思うようになりました。また商社は企業である以上、どうしても儲かることが中心になってしまいますが、ビジネスは課題解決の一手段にすぎない、という立場であったので、私はあまり儲かることそのものに興味はありませんでした。また、ビジネスでは途上国のマクロな経済に影響を与えることができても、国の中で社会階層が低い方々へのリーチには限界があるとも感じていました。途上国でも経済的に豊かな人や能力がある人はたくさんいて、私は、途上国の中でも貧困層や社会階層が低い人たちがどうしたら経済的に豊かになるかということに興味があると改めて感じました。

ちょうど1年前に途上国のNPO団体でプロボノ(※各分野の専門家が知識やスキルを無償提供して行う社会貢献活動)をするようになりました。そのNPO団体は担保がなく大きな金融機関ではお金を借りられない貧困層、特に女性に対して小口融資を行う団体だったのですが、私は顧客のインタビューを実施する中で、途上国の女性はどうやったら経済的に自立できるのか、どうしたら機会を均等化できるかということを考えるようになりました。

商社を選んだ理由の一つとして潰しが効くだろう、という考えもありましたが、興味とは別のところで外堀ばかり埋めていても仕方ないな、と。今改めて考えて、まだ30歳前なので汎用性は考えずに一度やりたいことをやってみようと思うようになりました。挑戦してみてそこでやっぱり違うなと思っても後悔なく次に進めますし、今挑戦しなければずっと後悔が残るなと思いました。東大に入った利点として、どんな道を選んでも食い扶持にはこまらないだろうという思いもあり(笑)、もう一度大学へ通って途上国の女性の経済的エンパワーメントについて学び、開発とジェンダーの修士を取ろうと決意しました。

  ── 一度社会に出てからもう一度大学に通うというのは、レアな選択だと思うのですが、どのような感じなんでしょうか?

実はこの9月からイギリスに行くんですよ(笑)。仕事の傍ら、去年の12月に出願をしました。専門知識を問うような試験はないのですが、逆に言えばエッセイなどで合否が決まるので、いかに自分が学校の授業で貢献できるのか、今後の社会にどう役立つのか、今までの経験や知識と結びつけて書かねばならないので大変でした。

  ── イギリスで修士を取った後のビジョンはありますか?

今まで商社でビジネスの知識や事業の管理・モニタリング・評価のスキルをつけてきたので、これを生かしながら途上国の女性の経済的エンパワーメントや社会開発に貢献できたらと思っています。とはいえ、まずは勉強をしっかり頑張って色々なものと出会い、考え方をブラッシュアップしていきたいと思っています。

  ── 最後に、今の東大生へ一言お願いします。

人生で選択を重ねていくと「あっちを選ぶべきだったのかな」と思う回数も増えてきて、新たに選択して後悔することが怖くなることもあると思います。ですが、たとえ思い描いていたようにいかなかったとしても真剣に向き合い全力で頑張れば得られるものがあるので、ひとまず頑張って欲しいです。全然選択肢になかった道でも、真剣に取り組んでみると面白い部分や学べること、意外と向いているなということもありますし、やっぱり違うと思っても、何が違うのか、自分は何に向いているのかが明確になると思います。もし中途半端にしか頑張れないのであれば、だらだら続けても得られるものは少ないと思うので辞めて違う道を選んだ方が良いのかもしれないです。間違った選択というのはないんだ、ということを伝えたいですし、失敗を怖がらずにどんどん選択・挑戦をしていって欲しいです。

  ── イギリスでの生活を応援しております。貴重なお話をありがとうございました。