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【文Ⅰ→法】「弁護士への間口が開いた時期」~羽深さんインタビューvol.1~

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2021/08/22

【文Ⅰ→法】「弁護士への間口が開いた時期」~羽深さんインタビューvol.1~

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今回は、文科Ⅰ類から法学部に進学し、法科大学院を卒業された後、弁護士として法律事務所だけでなく金融庁や経産省でも勤務され、国際的に活躍されている羽深宏樹さんのインタビューvol.1をお届けします。 vol.1では、羽深さんの学部時代についてお伺いしました。

 ──文科Ⅰ類を選ばれた理由は何だったんでしょうか?

正直、大学入試の時点では将来何になりたいというビジョンが決まっていたわけではなかったんですよね。

そんな中で文科Ⅰ類を選んだ大きな要素は2つあって、まず1つには自分には文系科目の方が向いているという感触があったからです。もう1つは、当時、法科大学院(ロースクール)ができたばかりの時期だったことが関係しています。

それまで弁護士になるには司法試験で合格率約2%の中を突破しなくてはならないという狭き門だったのが、間口が開いて法律の専門家になりやすくなるという、そういう雰囲気でした。

私もロースクールが法学部の中でも重要なオプションになると聞いていて、法律分野で専門職を目指すのも可能性の1つとしてはあり得るかなと思って進学しました。


 ──そうだったんですね。それでは、入学後に前期課程の法律の授業(準必修など)を受ける中で、法学を専門にすることを決めていったのですか?

そうですね、本音を言ってしまうと、実際に勉強してみても、正直自分が法律が好きかどうか確信を持てない部分はありました。進振りの時には「これがやりたい」というビジョンがなかったので進学先を決めるにあたってはあまり悩ませんでした。

しかし、3年生で法学部に進学したときに初めて法律の勉強に真面目に取り組んで、奥が深い学問だと思った反面、これを極めていくのが自分の一番やりたいことかというと確信が持てないというのが正直なところでした。

そんな中で、自分が今何になりたいのかというビジョンがないのであれば、それを正面から受け止めて、将来の選択肢をより多く残す道に進もうかなと思ったんです。そうすると、資格を取っておけば将来どういう仕事をするにしても役に立つだろうと思いました。また、資格を取る過程で自分のやりたいことが見えてくるかもしれないなと考えてロースクールへの進学を決めました。


 ──なるほど。法学部についてお伺いしたいのですが、法学部の雰囲気は「砂漠」だとよく聞きます。実際、どうだったんでしょうか?

砂漠です(笑)。何もしないと砂漠になると言った方が正確かもしれませんね。私は法学部に進学したのが15年ほど前なので、当時と今とでは状況が変わっていると思いますが。当時は法学部の授業というと大教室で教授が講義をして、学生は言われたことを咀嚼して、あとは自分で実際のケースに適用できるようになる訓練をするというものでした。

そうすると、少なくとも予備校などに通っていない学生は、講義を聞くだけならともかく実際に事例に適用する際に「一体何をどうすればよいのか」という壁にぶつかるんですよね。法律は最初から最後までパッケージで1つの体系を成しているので、パッケージ全体を使って考える事例について、ある部分だけ学んでいても対処できないんです。

どうやって事例を解決するか、どうやってテスト問題を解くかを考えた時に、授業を聞いたり本を読んだりしているいるだけでは不十分で、おそらく仲間を作って練習問題を解き、法律の理解・解釈・適用の仕方や結論の導き方、さらにそれをどうやって答案という形にまとめるのかを仲間同士でやっていかないと、どんどん置いていかれて孤独になってしまうというのが法学部砂漠の実態だったのだと思います。


 ──そうなんですね…実際に羽深さんはどういう生活でしたか?

砂漠でしたね(笑)。さっきの話は今だからわかることで、当時は本を読めば勉強は大丈夫なものだと思っていたんです。授業もあまり予習はせず出席していた程度でしたので、置いてけぼりになった気分がして、正直学部時代はきつかった面はありました。


 ──法学部で面白かった講義や印象に残っている講義はありますか?

金融法のゼミは面白かったです。大崎貞和先生という実務家の先生のゼミだったのですが、国際的な議論に焦点を当てた講義で、アメリカやイギリスでの金融規制の事情について海外の文献を読みながら学んでいくというもので、世界に視野が広がるという点が興味深かったです。加えて、そのゼミがかなり少人数で5~6人くらいだったので、ディスカッションなどがきちんとできて仲も深まりました。

インターネットがなかったころの勉強は知識の量に価値があったと思うのですが、今の時代は知識の背景にどういうことがあるのかを考える方が重視されると思うんです。

そういう力をつけるにはやはり少人数スタイルの双方向的なディスカッションによって問題を立体的に分析することが重要だと思いますね。

 ──ロースクールを意識して法学部に進学されたとおっしゃっていましたが、学部時代にダブルスクールなどはなされましたか?

しなかったですね。予備校に通う時間があったら、テストには関係ないかもしれない先端的なことを勉強できたらいいなと思っていました。ただ、試験に受かるという目的のことだけを考えるなら、予備校は行った方が確実だとは思います。

 ──そうだったんですね。私も2年生で法学部の持ち出し科目を取っているのですが、そこで教授が効率から言えば予備校の方が良いとおっしゃっていました。

そうなんですよね。試験は全員を同じ物差しで測って点数をつけることしかできないので、それに向けた点の取り方を学ぶには、それに特化したプロから教わった方が効率が良いのは事実だと思います。

一方で、大学というのはその物差し自体が本当に正しいのかを疑う場所だと思うんです。たとえば今ある制度が本当にありうべき制度なのかとか、その背景にはどういう歴史的経緯があって、だから目の前にある課題にはどういう解決策を持ってくるのが最善かということを学問的に掘り下げて探求していくというのが大学での学びだと思います。

つまり、大学ではこれまでの常識に挑戦するという事なんだと思っていて、それは常識を測る試験とは根本的に相いれないと思っています。

ですので、試験に受かるという目的のために予備校に行くのは意味のあることだと思いますし、ただそれだけで大学生活が終わってしまうのも勿体ないことだと思います。

 ──なるほど。それでは、学生時代にやっておけばよかったことはありますか?

英語ですね。今の時代、英語ができないと世界に出ている情報のほとんどが得られないですし、大多数の人とコミュニケーションができないということになります。今は翻訳アプリなども充実していますが、それでも超えられない壁はあると思うんです。コミュニケーションでは自分で表現しないと伝えられないことが絶対にあるので、英語は早いうちにやっておいた方が良いと思います。


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