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【起業】博士修了までの専攻を活かして起業をするという経験~石渡さんインタビューvol.3~

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2021/09/15

【起業】博士修了までの専攻を活かして起業をするという経験~石渡さんインタビューvol.3~

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今回は、文科Ⅲ類から工学部電子情報工学科に進学した後、博士課程まで修了し、Mantra株式会社を創業された石渡祥之佑さんのインタビューvol.3をお届けします。 vol.3では博士課程を修了された石渡さんが創業されたMantra株式会社や、起業にいたった経緯、研究をどう起業に活かしたのかなどについてお聞かせいただきます。

  ──石渡さんはMantra株式会社を創業されて、現在CEOを務めていらっしゃいますが、どういった事業をされているのですか?

「世界の言葉で、マンガを届ける」ためのソフトウェアを作っています。一つはマンガの海外展開をサポートする機械翻訳技術、もう一つはマンガで外国語を学べる学習アプリです。


  ──どういった経緯で創業することになったのですか?

博士の時に、趣味のプロジェクトとしてやり始めたのがきっかけです。博士3年のときに、本業とは別に「自由研究」をしようじゃないかと学科同期(のちの共同創業者)と話して、はじめました。


  ──自分の研究をしつつ、プロジェクトとしてやられてたということですか?

そうですね。スタートアップには興味があったんですけど、一緒に始めた仲間が就職することを考えていたので、最初は半ば趣味という形で始まりました。

最初に、東大の産学協創推進本部が開催している「製品アイデアコンテストUtokyo 1000k」に参加をしたら、アイデアが評価され優勝できました。それをきっかけに「東京大学 Summer Founders Program」に入り、スタートアップについて学びはじめました。そのあといくつかの展示会で漫画の機械翻訳機を展示したことで、このサービスを欲しがってくれる人がいるのを知り、会社を作ることにしました。


  ──漫画の自動翻訳をされているとのことですが、会社のゴールは何ですか。

ひとつは、すべてのマンガが言語の壁を超え、リアルタイムに世界中のファンに楽しんでもらえるようにすることです。

Mantraには2つのサービスがありますが、その1つがマンガ翻訳のSaaSである「Mantra Engine」です。現状、日本で漫画が出版されてから海外の人が読めるようになるまでには長い時間がかかっています。結果としてファンが非公式に翻訳した海賊版が読まれており、出版社や作家さんの収益も減ってしまいます。これを解決するためには、日本語と同時に世界各地の言語で出版できるように翻訳版を早く制作できるようにならないといけません。週刊連載の場合、翻訳に使える時間が2日程度しかないなかで、翻訳の速さとクオリティを両立する必要があります。「Mantra Engine」は、これを実現するためのサービスです。

  
  ──もう1つはサービスは何ですか?

「Langaku」です。これは漫画で外国語が学べる、学習用アプリです。

外国語を習得する過程においては多読(たくさん読むこと)がとても有効なのですが、「どういった本を買えばいいのかわからない」という人が多くいます。外国語の本は価格が高い上、買う前にはその本が面白いかどうかよくわかりません。しかし、漫画ならある程度値段もリーズナブルですし、面白い作品も選びやすい。さらに、多少表現が難しくても、ある程度絵から意味を類推できるので、「とにかく大量に読む」のが重要な多読学習と相性が良いと考えました。

一方で、マンガはくだけた表現も多く、英語学習者が知らない単語も頻繁に出現することがわかっています。「Langaku」には、英語で書かれたフキダシをタップするとそこだけ日本語になる機能や、英文の難易度を自動で推定する機能など、機械学習を活用して学習を効率化するための仕組みがふんだんに含まれています。僕たちはこれらの技術を活用することで、マンガの面白さと高い学習効率を両立することにチャレンジしています。

  
  ──石渡さんのもともとやりたかった「教育」と専攻である「情報工学」が組み合わせられた非常に素晴らしいサービスですね。今後のビジョンについてお聞かせください。

お話したとおり、もともと外国語や教育に興味がありました。それは、言語の壁を超えてエンタメコンテンツが他の国や地域に届いたときに、若者が異文化に興味を持ったり、文化を超えて仲良くなったりできると感じていたからです。エンタメがほんの少しずつ、でも確実に世界を平和にしていることを感じる中で、その流れを加速させることに僕は強いモチベーションを感じています。ですので、言語の壁を超えるための技術やサービスをこれからもつくっていこうと思っています。僕たちのサービスによって、誰かがちょっと外国語が得意になるとか、マンガを通して異文化をちょっと好きになるとか。そういう、一見地味な成果をちゃんと積み上げていきたいです。


  ──最後に学生へのメッセージをお願いします。

どういう会社で働くかとか、大学院に行くべきかとか、漠然とこのままでいいんだろうかとか、いろんなことを考える時期かと思います。僕が学生時代意識していたのは、、「いつ自分のテンションが上がるか」「どんな場面でグッとやる気が出るか」を観察し続けるということです。

本当に「これが好き」といえることを見つけることが、進路を決める上でとても大事だと思います。「特に好きなものないな」と思うこともあると思いますが、それは単に自分のテンションが上がる瞬間を見逃しているだけかもしれません。授業やサークル活動や日常生活の中で、テンションが上がる瞬間というものは多かれ少なかれあって、それを見逃さないようにすることで、進路を選ぶときの手がかりとして生かすことができると思います。

自分でもかなり注意深く観察しないと見落としてしまうと思いますが、「こういうことをやっている時の自分が好き」とか「こういうタイプの人と一緒にいるときに楽しい」とか、そういうシンプルな感情を進路選択では大事にした方がいいんじゃないかなー、と思います。

なお現在、Mantraでは東大生のインターン(ビジネス職)を若干名募集しています。最先端のAI技術の事業化や、英語を仕事で使うことに興味がある人、「マンガを海外に届ける」という言葉にピンとくる人は、ぜひ応募してみてください!

──非常に貴重な機会ですね! 本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました!