仕事
仕事
2022/06/13
# ベンチャー
# 起業
――なぜ「パワポ芸人」と呼ばれるようになったのでしょうか?
豊間根青地
もともとTwitterが好きで、Twitterでいかに友達を笑わせられるか、バズらせられるかということを常に考えてツイートしていました。しかし、ある時から文字だと限界があるなと思って、画像でネタを作るようになりました。最初はAdobeのillustratorを使おうと思ったんですけど、サブスクがちょっと高かったので手近なパワポで始めたんですね。それが2020年の5月くらいからコロナで暇になったこともあり制作スピードが加速して、ネタを作りまくってTwitterに上げていたら、だんだんバズり始めた、といったような経緯です。つまり、とにかく「コンテンツを作ろう」と思ってがんばっていたらいつしか「パワポ芸人」になっていたんですよね。実は大学時代から「パワポ芸人」と呼ばれることはあったんですが、それは資料作成というよりはプレゼンで笑いを取りに来るという意味でした。昔から人前でプレゼンをするのが好きで、ボート部のサーオリや学科の発表でいかに人を楽しませるプレゼンができるかを常に研究していましたね。
――パワポを作成するのは結構大変だと思います。その辺り苦には思わなかったのでしょうか?
豊間根青地
思わなかったですね。常日頃から、この辺をこういう風に切り取って、こういう風に変換したらウケそうだなとか、こういう視点で変えたらウケそうだなとかずっと考えているので。普通の会社員でちゃんと勤めながらよくそんなにパワポ作れるねとか言われたりしたんですけど、幸いそんなにめちゃくちゃ忙しくなかったので、帰ってきてから机向かってパソコン開いて1時間くらい作業すればできてました。やる気さえあれば誰でもできます。
――面白いコンテンツを作りたいと思ったのはいつ頃からなのでしょう?
豊間根青地
高校時代の演劇の影響が大きいです。母校の都立国立高校は文化祭に力を入れていて、3年生は演劇をやるんです。そこで監督(クラスのリーダー)をやって、最優秀賞など3年生が取れる賞を総なめにしました。さらに劇の宣伝に作ったテルマエ・ロマエをもじった「トヨマエ・ロマエ」という動画が下級生にすごく人気になったりしました。(笑)一橋大学の中のモダン調のテルマエっぽい池に僕が水着で入っていて、突然溺れた次の瞬間には友達の家の風呂に浸かっているみたいなストーリー。それがYouTubeに上がっていて、結構多くの下級生が見てくれていたこともあって、5,6個下の全然知らない人に「豊間根さんですよね?」って言われるみたいなこともありました。そういう経験があったから、コンテンツ作りがより好きになったのかもしれません。
――「パワポ芸人」と言われるなかで最も印象的なことは何でしたか?
――独立され、株式会社Catacaの代表として今後実現していきたいことは何でしょう?
豊間根青地
自分の考えていることを形にして他人にうまく伝えられる人を増やしたいと思っています。やっぱり考えたことを表現するというのは難しいし、みんな苦手意識があります。でも、うまくできるとめちゃくちゃ楽しい。僕はそれが人より少し得意なので、今まで積み上げてきたメソッドを体系化して、多くの人に同じ楽しさを味わってほしいなと思っています。
会社としては、30歳までに胸を張って「会社を経営しています」と言えるくらいの組織を作りたいですね。今はまだ、個人事業主に毛が生えた程度のことしかできていないので…。まずはパワポという手段で縛って価値を提供していき、そこからはパワポに限らず「面白いものを作る」という2つのフェーズで価値を提供していきたいと考えています。
――最後に、東大生へメッセージをお願いします。
豊間根青地
呼吸するようにできること、没頭できるものを探してほしいと思います。「人生で一番楽しい瞬間は何か」を明確にして、人生におけるその瞬間の割合を増やしていくためには何ができるかを考えてみてほしいです。
それは、僕にとっては「物事を噛み砕いて面白おかしく伝える」ということでした。誰もが僕のように運よくその「瞬間」を本業にまでもっていけるとは限らないと思いますが、ここを突き詰めることで間違いなく人生の幸福度が上がると思っています。
ーー「好きなことを仕事にする」ということはよく言われますが、なかなか没頭できるような「好きなこと」が見つからず何となく「いい会社」に入ることを目標にして卒業してしまう人は多いと思います。そんな中でも豊間根さんは自分の好きなことに向き合い続けたからこそ、好きなことで独立するということを実現されたのだと感じました。最後のメッセージに関して筆者は「好きなことに向き合え」ということだと受け止めています。自分の心の声に従って好きなことに向き合い続けた先に何かがある、それを信じて追求していくことが1つ幸せな生き方なのだとインタビュー中の豊間根さんを見ていて思った次第です。