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東大生のためのキャリア戦略論(6) 内定を勝ち取る選考対策とは

東大生のためのキャリア戦略論(6) 内定を勝ち取る選考対策とは

キャリア戦略を設計して、応募先が決まった後は、勝負どころとなる「選考」を迎えます。

志望する業界に入社できれば、望む仕事に就いて価値ある経験を積み、収入にも恵まれる。それによって、次もいい転職機会を得られる――というように、就活は人生にさまざまな影響を及ぼします。

ただし、就職の選考は、筆記試験だけ良ければいいというわけにはいきません。

東大生でも、「面接は苦手。」という方もいるでしょう。

そこで、本記事では、難関企業の選考において圧倒的な合格率を誇るコンコードエグゼクティブグループのオリジナル選考対策メソッドの一端について、渡辺代表にご紹介いただきたいと思います。


渡辺秀和(コンコードエグゼクティブグループ CEO)

一橋大学商学部卒業。株式会社三和総合研究所(現:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)戦略コンサルティング部門出身。2008年、株式会社コンコードエグゼクティブグループを設立。1000人を越えるビジネスリーダーに対して、戦略系ファームをはじめとするコンサルティング業界、ファンド、事業会社幹部、起業家などへのキャリアチェンジを支援。第1回「日本ヘッドハンター大賞」のコンサルティング部門で初代MVPを受賞。著書『未来をつくるキャリアの授業』(日経新聞出版社)など。

なぜ〝実力〟があっても、選考で落ち続けるのか?

「採用企業は〝実力〟を見て、ちゃんと評価してくれるはずだ」と考えている方がいらっしゃいますが、果たしてそうでしょうか。

実際の就職活動や転職活動では、綿密な準備とスキルが大切です。

これを知らないと、どんなに素晴らしい実績や経歴があったとしても、あっさり選考に落ちることも起こり得るのです。

「準備やスキルで結果が変わるなんておかしい。」「面接対策なんて、小手先だけのテクニックだ。」と考えるのは、早計です。

後述するように、選考では、社会人としての心構えが問われているのです。

先日、30代半ばの男性が転職のご相談にいらっしゃいました。

ご自身で応募したコンサルティングファーム4社すべてが、書類選考でNGとなってしまったそうです。

ご経歴を伺うと、名門大学を卒業し、在籍企業での実績も申し分ありません。

応募先のコンサルティングファームにもフィットする経歴で、問題なく通過しそうでした。

書類選考には運の要素も多少はありますので、偶然にも「同時期に似た経歴の人を採用したばかり」だったことから落選したということはあり得ますが、さすがに4社全滅というのは理解しがたいことです。

しかし、応募書類を拝見して、合点がいきました。

所属部署と営業実績が記述されているだけで、フォントサイズもバラバラ…、まるでメモ書きのような職務経歴書で応募されていたのです。

実は、このような事例は珍しくはありません。

特に、優秀な方の中には「自分には実力があるから、当然、応募先企業に採用してもらえるだろう」と気軽に応募される方がいらっしゃいます。

しかし、実際の就職活動や転職活動においては、どんなに実力があったとしても、身につけておかなければいけないスキルがあり、行なっておくべき準備があるのです。

これらの「選考対策」をしておかないと、書類選考・面接に落ち続けます。

コンコードへ相談にいらっしゃったビジネスリーダーの皆さんも、履歴書や職務経歴書を書き直し、志望動機書を練り直します。

面接に際しても、回答内容と伝え方について整理します。

面接の場で緊張して失敗しないように、何度も練習してから本番に臨んでいただきます。

この選考対策は、その方の魅力を等身大以上にアピールできるようにするということではありません。

応募者の経歴・人物を〝誤解の無いように〟〝わかりやすく〟〝聞き手の気持ちを汲みながら〟説明するということに目的があります。

さらに、昨今、コンサルティングファームをはじめとする人気企業では「ケース面接(ケースインタビュー)」が課せられることがありますので、その対策も行ないます。

ケース面接とは、特定のビジネスシチュエーションを想定して、面接官とディスカッションが行なわれる面接です。

特殊な面接のため、優秀な方でも、初見では要領が掴めずに落ちてしまうことが多いのです。

 

これは、優秀な人材を採用したいと考えている採用企業にとっても、勿体ないことですよね。

私たちの会社へ相談に来られる前に、他社のケース面接で落ちてしまった方が、私たち経由で受けた外資戦略コンサルティングファームで内定し、最終的にパートナーやディレクターとして大活躍されているという例は多数あります。

一流のビジネスパーソンは「準備」をする

「一流企業で活躍するビジネスリーダーが、面接対策をしているの?」と驚かれた方もいるかも知れません。

しかし、考えてみれば、ビジネスの場においてしっかりと準備をしたり、練習をしたりすることは、当たり前のことです。

自社製品を売る営業マンも、資金調達を行なう起業家も、魅力をわかりやすく伝える資料を練り込み、想定問答に対する回答も考えておきます。

しっかりした人であれば、ロールプレイングで実際に話す練習も行なうでしょう。

さらに、慎重な人であれば、小口の顧客で営業に慣れてから、本命の大口顧客へアプローチするかもしれません。

むしろ、このような「準備」をできない人は、一流のビジネスパーソンとは見なされないでしょう。

相手に考えさせる負荷を押しつけるのではなく、自分の魅力・実力をわかりやすく誤解のないように伝える努力をできる人材が、企業から求められているのです。

就職や転職における選考は、キャリアがかかった大勝負ですし、ビジネスリーダーが望む企業はとても人気が高いのです。

例えば、外資戦略コンサルティングファームの中途採用は0.5~1%とも言われる超難関です。

選考対策は、必要不可欠となります。

前述のご相談者も、私たちと一緒に履歴書や職務経歴書を編集し直して、落ちた会社へ再応募しました。

すると、4社すべてで書類が通過。見事に第一希望のコンサルティングファームから内定を勝ち取られ、ご入社されました。

注目すべきは、応募者の実績や経歴は何も変化していないにも関わらず、「書類選考NG」という結果と「内定」という結果に分かれるということです。

そして、この合否によって後のキャリアが大きく変わっていくことを考えると、選考対策の重要性をお分かり頂けるかと思います。

このように人生に大きな影響を与える選考対策ですが、大型資格取得のように膨大な時間と労力がかかるわけではありません。

その意味でも、選考対策を疎かにするのは、とても勿体ないことなのです。

書類選考対策は、相手の気持ちや立場を想像することが鍵

選考における最初の関門は、書類選考です。

前述のように、実力そのものが同じであったとしても、書類の書き方ひとつで合否が分かれてしまうのが実態です。

しかし、重要であるにも関わらず、誤解の多いスキルでもあります。

例えば、転職に関する一般的なノウハウ本では、「職務経歴書に自分の挙げてきた実績を具体的な数字で書け」と謳われています。

ところが、この常識は未経験者がコンサルティングファームへキャリアチェンジをする場合には、まったく当てはまりません。

メーカーの営業職からコンサルティングファームへ応募する場合、「A商品をX億円売り上げた」と書いても、「うちに入社したら、A商品の営業をするわけではないんだよね。この実績に何の価値があるの?」となってしまいます。

問題解決能力を重視するコンサルティングファームとしては、業務の中でどのように問題解決してきたのかということを知りたいと考えています。

「A商品をX億円売り上げた」と実績を記述するのではなく、「顧客分析を通じてセグメント別の施策を打ち立て、営業部門の販売戦略を再構築した結果、X億円の売上げを実現した」と表現すれば、「問題解決能力が高い人材だ」と判断されるでしょう。

コミュニケーションをする上で、相手の気持ちを想像して、伝える内容や伝え方を考えることはとても大切ですよね。

それと同様に、応募先企業や面接官の気持ちや立場をよく想像してから、応募書類を作成することが書類選考対策の鍵となります。

これは、一流のビジネスパーソンとして活躍する上で、とても大切な心構えでもあります。

筆記試験対策は、良い問題を〝手を動かして〟練習する

続いての関門は、筆記試験です。

筆記試験を突破できなければ、面接を受けることすらできません。

人気企業には、東大卒・京大卒といった、試験に強い名門大の出身者が殺到しています。

そのような筆記試験に丸腰で向かうのは危険です。

これも考えてみれば当然なのですが、大学入試や司法試験、公認会計士試験を受験するのに、対策を何もしないという人はまずいません。

おそらく出題傾向などを把握して、練習問題で慣れてから受験するはずです。

同様に、就活においても、しかるべき対策をしておく必要があります。

就活における試験は、中学受験における算数や国語に近い問題が出題されます。

試験本番の制限時間がある中で、久しぶりにそれらの試験問題を解こうとすると、予想以上に解けずに焦る方も多いようです。

本来の実力を発揮できるようにするためには、練習が必要です。

もちろん、少し練習すればすぐにカンを取り戻すことができるでしょう。

良い問題を〝手を動かして〟練習することが、筆記試験対策では大切です。

面接では、「協働する仲間に相応しいか」を確認されている

最後の関門は、面接です。

面接は、職歴・人物・志望理由などを確認する「通常面接」と、ディスカッションを行なう「ケース面接(ケースインタビュー)」と、候補者からの質問に対応する「質疑応答」から構成されます。

通常面接対策

通常面接における主な討議内容は、志望理由と自己PRです。

シンプルな論点ながら、仕事への情熱、自己管理能力、他者への思いやり、成長意欲… 等々、協働する仲間に相応しい人物か否かが、さまざまな角度から確認されることになります。

実は、志望理由の説明ひとつをとっても、準備や練習なしに臨むのは難しいものです。

あまりに壮大な夢だけを熱く語っても、「目の前の仕事にしっかり打ち込んでくれるのかな?」と不安に思われるでしょう。

自分の大切にしている想いを伝えることはもちろん大切ですが、ビジネススキルを持たない新卒学生を粘り強く育ててくれる採用企業の気持ちをよく考えることも必要です。

応募先企業にとって納得感のあるロジックで、ストーリーを組み立てましょう。

また、自分の話し方や表情、しぐさが、受け手にどのようなインパクトを与えているのかについて、他者からフィードバックをもらってブラッシュアップしておくことも非常に重要です。

面接の場ではどうしても緊張してしましますので、失敗しないように、実践形式で練習しておくことも欠かせません。

さらに、自分の話している様子を録画して確認してみることも有効です。

「自分が無表情でリアクションが薄いので、相手が話しづらそうだな」、「うん。うん。とあいづちを打っているので、目上の人に対して失礼な印象があるな」など、マイナスな印象を与えるクセが見つかることも珍しくありません。

これは、「他人の目を気にして、それに合わせる」という発想とは、まったく異なります。

仕事は、自分の能力やスキル通じて、他者へ貢献することで、人々を幸せにし、社会をより良くしていく活動です。

他者への貢献が仕事の鍵となるならば、自身の行動やふるまいが、他者に与えるインパクトについて配慮することは、当然のことです。

コミュニケーションや心のクセを改善し、自分の望む姿に近づくことは、人生を大きく変えます。

就職活動や転職活動はそのための好機と言えるでしょう。

もちろん、面接で等身大以上にアピールしても、ベテランの面接官からは見抜かれてしまいますし、入社した後に互いにとって不幸になります。

あくまで自分の経歴・人物を〝誤解の無いように〟〝わかりやすく〟〝聞き手の気持ちを汲みながら〟説明するということが大切です。

ケース面接対策

東大生に人気の高いコンサルティングファームや投資銀行では、ケース面接を課せられます。

ケース面接(ケースインタビュー)とは、特定のビジネスシチュエーションを想定して、面接官とディスカッションを行なう選考です。

特殊な面接であるため、コンサルタントの適性が高い方であっても、要領が掴めずに落ちてしまうことが多々あります。

例えば、「新幹線の中のコーヒーの売上を伸ばすには?」といった売上拡大施策の提案や、「ソニーのCEOだったらどうする?」といった経営課題に関する提案を求められたら、みなさんは面接の場で的確に答えられるでしょうか。

ケースを初めて見た方の多くは、どのように答えるべきかピンと来ないと思います。

また、とても良いアイデアだったとしても、論理的な説明でなければ相手に受け入れられません。

以下のような展開で失敗してしまうケースもよく見られます。

面接官「新幹線の中のコーヒーの売上を伸ばすには、どうすれば良いと思いますか?」

応募者(コンサルタントは結論から話す…だったな)「○○をすると良いと思います。」

面接官「なぜ、そう考えるのですか?」

応募者「うーん。××だと思うからです。」

面接官「なぜ、そう思うのですか?」

応募者「うーーーん。」

ケース面接では、優秀なビジネスパーソンにとっても、決して容易に回答できないような設問が投げかけられます。

ましてやビジネス経験の浅い学生であれば、初見では途方に暮れてしまいますよね。

そもそも、この禅問答のような面接は、何のために行なわれているのでしょうか?

実は、ケース面接突破の鍵は、この「そもそもケース面接では何を見られているのか?」を適切に把握することにあるのです。

ケース面接では、「ディスカッションパートナーとしての適性」が見られています。

頭の回転の速さ、ロジックツリーや3C、4Pなどのフレームワーク活用スキルばかりが見られるわけではないのです。

知力のみならず、問題解決に対する姿勢や協働するマインドなどが、全人格的に見られています。

その点を踏まえて、実践形式の対策を行なうことが大切なのです。

質疑応答

面接の最後では、応募者からの質問・疑問に対して面接官が回答する「質疑応答」が行なわれます。

この質疑応答を軽視する応募者も多いのですが、注意が必要です。

入社後に「想定と違った」ということがないように、しっかりと確認すべきことを事前に整理しておきましょう。

また、難関のケース面接を終えて少しほっとしたタイミングで行なわれることもあり、応募者の価値観や本音を確認しやすい時間でもあります。

その意味でも、面接官は、この時間を大切にしています。

当然のことですが、応募者の仕事に対する姿勢が見られますので、気を抜かないように留意しましょう。

合否の結果に、とらわれ過ぎない

最後に読者の皆さんにお伝えしたい大切なことがあります。

それは、「就活の合否結果にとらわれ過ぎない」ようにして頂きたいということです。

仮に第一志望や第二希望の企業で不合格となってしまったとしても、落ち込みすぎないようにして頂きたいのです。

たとえば、コンサルティングファームであれば、一つ一つの企業の採用枠は非常に狭いため、「A社に合格したい」と思っていても、その1社で確実に内定を勝ち取るということはかなり難しくなります。

倍率が高いというだけでなく、しっかり準備をしていたとしても、面接官との相性など運の要素もあります。

しかし、コンサルティング業界を広く見れば、たくさんの会社があります。

経験できる業務も身に付くスキルも、それほど大きくは変わりません。

広い視野で捉えれば、A社にこだわらずとも、B社やC社で素晴らしいキャリアが待っていることに気がつきます。

当然ですが、会社に入ることが人生のゴールではありません。

会社に入ることは、自分のキャリアビジョンを実現するためのプロセスに過ぎません。

そして、そのキャリアビジョンに至る道は無数とも言えるほどあるのです。

もちろん、第一志望の企業から内定を得られたとすれば、それはとても喜ばしいことです。

しかし、社会人として何かを成し遂げたわけではなく、ようやくスタートラインに立ったに過ぎません。

これからが本番であるとの認識を持ち、より良い社会人のスタートを切れるように、卒業までの時間を大切に過ごしましょう。

就職活動は、社会人としての成長の好機と捉えていただき、結果にとらわれ過ぎず、学びのプロセスを大切にしていただけると幸いです。


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